給湯器が凍結した!お湯が出ない時の応急処置と予防策【プロが解説】
「朝起きたらお湯が出ない!もしかして凍結?」
寒い冬の朝、蛇口をひねってもお湯が出ないと焦りますよね。特に寒波が到来している時期は、給湯器の配管が凍結してしまうトラブルが急増します。
しかし、慌てて熱湯をかけるのは絶対にNGです。配管が破裂し、高額な修理費用がかかってしまう恐れがあるからです。
この記事では、給湯器の施工管理技士として数多くのトラブル現場を見てきた私が、給湯器が凍結した際の正しい対処法(自然解凍を待つべき理由など)と、今すぐできる予防策を分かりやすく解説します。これを読めば、万が一の時も落ち着いて対処でき、大切な給湯器を守ることができます。
給湯器が凍結した時の症状と確認方法
👉 このパートをまとめると!
「水は出るがお湯だけ出ない」場合は給湯器の凍結が疑われます。リモコンのエラーコードや外気温を確認し、状況を正しく把握しましょう。
まず、本当にお湯が出ない原因が「凍結」なのかを確認しましょう。給湯器の故障やガス供給の停止など、他の原因である可能性もあります。
凍結のサイン:水は出るがお湯が出ない
最も典型的な症状は、「キッチンの水側の蛇口からは水が出るのに、お湯側の蛇口からは何も出ない(またはチョロチョロとしか出ない)」という状態です。
これは、給湯器に水を供給する配管(給水管)や、給湯器からお湯を送り出す配管(給湯管)が凍り付いて詰まっているためです。家中のどのお湯の蛇口からもお湯が出ない場合は、給湯器周りの凍結の可能性が高いです。
リモコンのエラーコードを確認
給湯器のリモコンにエラーコードが表示されていないか確認してください。メーカーによって異なりますが、凍結に関連するエラー(断水検知など)が表示されることがあります。ただし、凍結の場合はエラーが出ずに単にお湯が出ないだけのことも多いです。
外気温と設置場所の確認
前日の夜から当日の朝にかけて、気温が氷点下(特に-4℃以下)になっていませんでしたか?また、給湯器が北側に設置されていたり、風当たりの強い場所にあったりすると、凍結のリスクが高まります。
【緊急】凍結した時の正しい対処法(応急処置)
👉 このパートをまとめると!
基本は「自然解凍」を待つことです。どうしても急ぐ場合は、ぬるま湯をタオル越しにかける方法がありますが、熱湯は厳禁です。
給湯器が凍結してしまった場合、焦って間違った対処をすると事態を悪化させてしまいます。ここでは、プロが推奨する正しい対処法を解説します。
基本は「自然解凍」を待つ
最も安全で確実な方法は、「気温が上がって自然に溶けるのを待つ」ことです。
太陽が昇り、気温が上昇すれば、配管内の氷は自然に溶けてお湯が出るようになります。無理に溶かそうとすると配管に負荷がかかるため、時間に余裕がある場合は、お昼頃まで待ってみるのがベストです。
どうしても急ぐ場合の「ぬるま湯」解凍法
「どうしても今すぐお湯を使いたい」という場合は、以下の手順で慎重に対処してください。
- 給湯器のリモコンの運転スイッチを「切」にします(コンセントは抜かないでください)。
- キッチンなどの蛇口の「お湯側」を少し開けておきます。
- 給湯器の下にある給水元栓(バルブ)の周りにタオルを巻きます。
- そのタオルにお湯(30℃〜40℃程度のぬるま湯)をゆっくりとかけます。
- 配管が解凍され、蛇口から水が出たら、タオルを外して乾いた布で水気を拭き取ります。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 熱湯をかけるのは絶対にやめてください。
なぜなら、凍った配管やバルブに急激な熱を加えると、温度差で配管が破裂したり、接続部のパッキンが破損したりするからです。修理費用が数万円かかることもあります。「ぬるま湯」を「タオル越し」にかけるのが鉄則です。
今夜からできる!給湯器の凍結予防策
👉 このパートをまとめると!
「水を出しっ放しにする」「追い焚き機能付きなら浴槽に水を溜めておく」などの対策で、凍結を未然に防ぐことができます。
一度凍結すると解凍までお湯が使えず不便です。天気予報で寒波が予想される時は、事前の対策を行いましょう。
対策1:少量の水を出し続ける(通水)
最も効果的な予防策は、「お湯側の蛇口から少量の水を出し続ける」ことです。
- リモコンの運転スイッチを「切」にします。
- お風呂やキッチンなどの給湯栓(お湯側の蛇口)を開き、少量の水(鉛筆の芯くらいの太さ、1分間に約400cc)を流し続けます。
- 水が流れることで配管内の凍結を防ぎます。
※流した水はバケツなどに溜めて洗濯などに再利用すると経済的です。
対策2:浴槽に水を溜めておく(追い焚き機能付きの場合)
追い焚き機能付きの給湯器(ふろ給湯器)の場合、自動ポンプ運転機能がついています。これは、外気温が下がると自動的に追い焚き配管内の水を循環させて凍結を防ぐ機能です。
この機能を作動させるためには、浴槽の循環アダプター(お湯が出てくる金具)の上まで水(または残り湯)を溜めておく必要があります。入浴後、お湯を抜かずに残しておくだけで対策になります。
対策3:配管の保温材を確認・補修する
給湯器の下から出ている配管に巻かれている保温材(断熱材)が破れていたり、剥がれていたりしませんか?配管がむき出しになっていると、そこから凍結しやすくなります。
ホームセンターなどで保温材や保温テープを購入し、むき出しの部分を覆うように巻き直すことで、凍結リスクを下げることができます。
まとめ:凍結時は焦らず対処を。予防が最大の防御
給湯器の凍結は、正しい知識があれば怖くありません。万が一凍結してしまった場合は、焦って熱湯をかけず、自然解凍を待つか、ぬるま湯で慎重に対処してください。
そして何より、天気予報をチェックし、寒くなりそうな夜は「水を少し出しておく」「浴槽に水を溜める」といった予防策を講じることが大切です。これらの対策で、寒い冬も快適にお湯を使いましょう。


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