エコキュートのエラーコード別・自分でできる応急処置とリセット方法
「お風呂に入ろうとしたらお湯が出ない!」「リモコンに見たことのないエラーコードが点滅している…」
冬の夜、家族が楽しみにしている入浴の時間に突然訪れるトラブル。冷たい水しか出ないシャワーを前に、頭を抱えてしまっているのではないでしょうか。取扱説明書を探す時間も惜しく、修理業者を呼べば数万円の出費が頭をよぎる——その焦り、痛いほどよく分かります。
しかし、まずは深呼吸してください。実は、エコキュートのエラーの多くは、部品の故障ではなく「一時的なシステムエラー(誤作動)」に過ぎません。
パソコンがフリーズした時に再起動で直るように、エコキュートも正しい手順で「完全リセット」を行えば、嘘のように復旧するケースが非常に多いのです。
この記事では、元メーカーサービスエンジニアである私が、メーカーを問わず今すぐ試せる「最強の応急処置(完全放電リセット)」の手順を解説します。業者に電話をするのは、これを試してからでも決して遅くはありません。まずは5分間、私に時間をください。今夜のお風呂を取り戻しましょう。
【全メーカー共通】エラーコードが出たらまず試す「完全リセット」手順
エラーコードが表示された際、多くの人がやってしまう間違いが「リモコンの電源ボタンを何度も押すこと」です。しかし、システム自体がフリーズしている場合、リモコン操作は受け付けられません。
最も確実で、全メーカー(パナソニック、ダイキン、三菱、コロナ、日立など)に共通する最強のリセット方法は、貯湯タンクユニットにある「漏電遮断器(漏電ブレーカー)」を使った物理的な再起動です。
以下の手順に従って、落ち着いて操作してください。
手順1:貯湯タンクユニットのカバーを開ける
屋外に設置されている長方形の大きな箱が「貯湯タンクユニット」です。このタンクの上部または前面にある操作窓(カバー)を開けてください。
手順2:漏電遮断器の「テストボタン」を押す
カバーの中に「漏電遮断器」というスイッチがあります。※感電防止のため、濡れた手では絶対に触らないでください。まずは、その近くにある小さな「テストボタン(灰色や赤色のボタン)」を押してください。
※テストボタンを押すと、レバーが自動的に「切(OFF)」の位置に下がります。これで強制的に電源が遮断されます。
手順3:【最重要】そのまま5分間待機する
ここが運命の分かれ道です。電源が切れたからといって、すぐにレバーを上げてはいけません。
必ず「5分間」、そのまま放置してください。この待機時間が、リセットの成功率を劇的に高めます。
手順4:漏電遮断器のレバーを「入(ON)」にする
5分経ったら、下がっているレバーをグッと押し上げて「入(ON)」にします。これで再起動がかかります。
手順5:リモコンの確認とお湯張り
室内のリモコン画面が点灯し、エラーコードが消えていることを確認してください。その後、通常通りお湯張りを試してみましょう。
なぜ「5分待つ」のか?プロが教えるリセットの成功率を上げるコツ
「電源を切ってすぐに入れ直せばいいのではないか?」
そう思われるかもしれません。しかし、プロの視点から言えば、即座の再投入はリセットとして不完全です。
エコキュートは「巨大なパソコン」である
エコキュートは単にお湯を沸かす釜ではなく、精密な電子基板とセンサーの塊です。パソコンやスマートフォンがフリーズした際、電源コードを抜いてすぐに挿し直しても、内部の電気が抜けきらずに不具合が解消しないことがあります。これと同じ現象がエコキュートでも起こります。
「放電時間」がシステムを正常化する
機器の内部にある「コンデンサ」という部品には、電源を切った後もしばらく電気が残っています。この残留電気がなくなって初めて、メモリ上の誤ったデータやエラー情報が完全に消去されます。
漏電遮断器を切ってからの「5分間」は、このコンデンサを完全に放電させ、システムをクリーンな状態に戻すための必須条件(放電時間)なのです。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 焦る気持ちを抑えて、スマホでタイマーをセットし、きっちり5分間待ってください。
なぜなら、1分程度の待機では放電が不十分で、エラー情報がメモリに残ったまま再起動してしまう「失敗パターン」が非常に多いからです。私が修理現場に到着して、お客様の目の前で「5分待機リセット」をしただけで直ってしまい、「えっ、それだけ?」と驚かれることは一度や二度ではありません。この5分が、数万円の修理費をゼロにする魔法の時間になるかもしれません。
メーカー別・主要エラーコードと緊急性の判断リスト
リセットを待っている5分間の間に、表示されているエラーコードの意味を確認しておきましょう。
エラーコードは、大きく分けて「通信エラー・誤検知(リセットで直りやすい)」と「物理的な故障(修理が必要)」の2種類があります。
| メーカー | エラーコード例 | 内容・症状 | 緊急度・対処 |
|---|---|---|---|
| パナソニック | H54, H59 | 三方弁、給湯混合弁の異常 | 中: まずはリセット。再発なら部品交換。 |
| F27, F66 | 圧力スイッチ、ふろ循環ポンプ異常 | 高: リセットで直らなければ修理依頼。 | |
| U22, U51 | 断水検知、お湯切れ | 低: タンクの水不足。給水されれば自然復旧。 | |
| ダイキン | H54 | 三方弁の不具合 | 中: リセット推奨。頻発するなら交換。 |
| C03, 740 | 通信異常、AI制御基板の異常 | 低〜中: ノイズの可能性大。リセットで直る確率高。 | |
| FA, EA | ポンプ、ファンモーター異常 | 高: 物理故障の可能性。業者へ連絡。 | |
| 三菱電機 | P00, P01 | 給湯温度の異常(高温・低温) | 中: センサー誤検知の可能性あり。リセット試行。 |
| C03, C19 | 通信異常 | 低: リセットで復旧する代表的なエラー。 | |
| コロナ | E24 | 給湯ミキシング弁異常 | 中: 高温のお湯が出ない可能性。リセット試行。 |
| H03, H16 | 圧力センサー、給水ポンプ異常 | 高: 部品故障の疑い濃厚。 |
より詳細なエラーコードの意味や、機種ごとの細かい仕様については、各メーカーの公式サポートページも参照してください。
- パナソニック:エラーコード一覧
- ダイキン:AIエラーコード検索
- 三菱電機:エラーコード検索
リセットしても直らない場合の対処法と修理費用の目安
「5分待ってリセットしたけれど、エラーが消えない」
「一度は消えたけれど、翌日また同じエラーが出た」
残念ながら、このような場合は「物理的な故障」が発生している可能性が高いです。リセットはあくまでシステムの一時的な不具合を解消する手段であり、壊れた部品(弁や基板、ポンプなど)を治癒するものではありません。
「再発」は修理依頼のサイン
リセット後にエラーが再発する場合、それは機器からの「限界サイン」です。無理にリセットを繰り返すと、基板がショートしたり、水漏れが悪化して階下への被害が出たりするなど、状況を悪化させる危険があります。2回試してダメなら、潔くプロに任せるのが鉄則です。
修理か、交換か? 判断の目安は「10年」
業者に連絡する際、修理すべきか買い替えるべきかの判断基準は「設置から10年」が目安となります。
- 設置から10年未満:
- 部品の保有期間内であるため、修理で対応できる可能性が高いです。
- 修理費用の目安: センサーや弁などの部品交換で約2万〜5万円、基板やヒートポンプユニットの修理で5万〜15万円程度。
- 設置から10年以上:
- メーカーの部品供給が終了している場合が多く、修理しても別の場所がすぐに壊れる「故障の連鎖」が起きやすい時期です。
- 修理に10万円かけるなら、最新の省エネ機種への「本体交換(工事費込みで約35万〜60万円)」を検討した方が、長期的には経済的(光熱費削減含む)な場合が多いです。
まとめ:まずは「5分間のリセット」を。ダメならプロへ。
突然のエラーコードに驚かれたと思いますが、まずは落ち着いてください。
この記事でお伝えした「漏電遮断器による5分間の完全リセット」は、プロも現場で行う正当なトラブルシューティングです。
- 貯湯タンクの漏電遮断器をOFFにする。
- 必ず5分間待って(放電させて)からONにする。
- それでも直らない、または再発する場合は修理を依頼する。
この手順を踏むだけで、今夜のお風呂に入れる確率は格段に上がります。
あなたが無事にお湯を使えるようになり、家族との温かい時間を過ごせることを心から願っています。
もしリセットで改善しない場合は、無理をせず信頼できる専門業者に相談してください。多くの業者が無料で見積もりを行っていますので、まずは電話で状況を伝えることから始めましょう。
参考文献
- ダイキン工業株式会社 – エコキュートのエラーコード一覧
- パナソニック株式会社 – エコキュート よくあるご質問
- 三菱電機株式会社 – エコキュート 故障診断・修理

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