【プロが緊急解説】トイレの水位が上がる！まずやるべき応急処置と原因別の直し方

トイレの水位がいつもより上がってきて、驚かれたことでしょう。
「どうしよう、溢れたら…」と不安になりますよね。水道修理のプロとして、年間500件以上の現場に駆けつける私、鈴木がまずお伝えしたいのは、「落ち着いて、正しく対処すれば大丈夫」ということです。

原因の9割は「つまり」ですが、慌てて水を流すと溢れる危険があります。

この記事では、水道修理20年の経験から、まず最初にやるべき応急処置、そしてご自身でできる直し方のコツ、専門家である私たちプロに頼むべきケースの見極め方まで、順を追って具体的に解説します。

【緊急】トイレの水位が上がったら、まずやるべき応急処置3ステップ

何よりも先に、被害が広がるのを防ぎましょう。
難しいことはありません。以下の3つのステップを、落ち着いて実行してください。

ステップ1：【最優先】止水栓を閉めて水の供給をストップ！

まず、トイレに供給される水を止めます。
トイレタンクの横、または壁や床から出ている給水管に、ハンドルや溝のあるネジのようなものが付いているはずです。これが「止水栓」です。

ハンドル式なら手で、溝があるタイプならマイナスドライバーや硬貨を使って、「時計回り（右回り）」に回らなくなるまで閉めてください。
これで、万が一また水を流してしまっても、タンクに新しい水が供給されなくなり、溢れる心配がなくなります。

ステップ2：ウォシュレットの電源プラグを抜く

次に、ウォシュレット（温水洗浄便座）の電源プラグをコンセントから抜いてください。
床が濡れてしまった場合に、漏電や感電といった二次被害が起きるのを防ぐためです。安全のための、非常に重要なステップです。

ステップ3：トイレの蓋を閉めておく

最後に、トイレの蓋をそっと閉じておきましょう。
これは、もしこの後ラバーカップ（スッポン）を使う際などに、汚れた水が周囲に飛び散るのを防ぐためです。プロである私たちも、作業前には必ず行う基本の対策です。

自分でできる？トイレつまりの直し方【ラバーカップ編】

応急処置が終わったら、ご自身で解決できるか試してみましょう。
トイレットペーパーの流しすぎなど、軽度のつまりであれば、ラバーカップで解消できることがよくあります。

準備するもの

• ラバーカップ（スッポン）
• ゴム手袋（衛生のため）
• バケツ（水位調整用）
• ゴミ袋や新聞紙（床の養生用）

※ラバーカップには、出っ張りのない和式用と、出っ張りがある洋式用があります。ご家庭のトイレに合ったものを使用してください。

【プロのコツ】ラバーカップの正しい使い方

ここでは、多くの人が間違えがちな「プロのコツ」をお伝えします。
以下の手順に沿って、ゆっくり実践してみてください。

1. 水位を調整する:
   便器の排水口に水が溜まっていない場合は、バケツで水を足し、ラバーカップのゴム部分がしっかり浸るくらいの水位に調整します。水が多すぎると跳ねるので、便器の半分くらいの高さまでが目安です。
2. 排水口にカップを密着させる:
   ラバーカップを排水口にゆっくりと押し当て、隙間ができないように完全に密着させます。この「密着」が非常に重要です。
3. ゆっくり押し込み、一気に引き抜く:
   カップをグッと押し込み、詰まっているものを押し出すのではなく、詰まりを引っ張り出すイメージで、力を込めて一気に引き抜きます。この「引く」動きが詰まりを解消する吸引力を生み出します。
4. 詰まりが解消したか確認する:
   「ゴポゴポッ」という音がして、水位が下がれば成功の合図です。バケツで少しずつ水を流し、スムーズに流れるか確認しましょう。いきなりタンクのレバーで流さないように注意してください。

ラバーカップを使っても直らない場合は？

2〜3回試しても水位が下がる気配がない場合は、残念ながらご自身で直せる範囲を超えている可能性が高いです。
無理に続けると便器や排水管を傷つける恐れもあるため、深追いは禁物です。専門家への相談を検討しましょう。

絶対にやめて！トイレの水位が上がった時のNG行動3選

良かれと思ってやったことが、かえって状況を悪化させることがあります。
以下の3つの行動は、絶対に避けてください。

NG行動①：【最悪手】慌てて何度も水を流す

「流れるかも？」と期待してレバーを操作するのは、最も危険な行為です。
排水管が詰まっている状態でタンクの水を全て流すと、便器から汚水が溢れ出し、床が水浸しになる大惨事に繋がりかねません。

NG行動②：熱湯を注ぐ

「つまりは油でできている」というキッチンの知識から、熱湯を試そうとする方がいますが、トイレには厳禁です。

トイレの便器は陶器でできています。
そのため、急激な温度変化に非常に弱く、熱湯をかけると「ピシッ」と音を立てて、ひび割れや破損を引き起こす危険があるのです。便器の交換は高額な出費になります。

NG行動③：固い棒などで無理やり突っつく

針金ハンガーや棒のようなもので、詰まりを無理やり押し込もうとするのもやめましょう。
排水管の内部を傷つけてしまったり、詰まりをさらに奥へと押し込んでしまい、プロでも解消が困難な状況にしてしまうことがあります。

なぜ？トイレの水位が上がる主な原因

そもそも、なぜ水位が上がってしまうのか。その根本原因を知ることで、今後の予防にも繋がります。

原因①：トイレットペーパーや流せるシートの使いすぎ

一度に大量のトイレットペーパーを流すと、水に溶けきる前に排水管のカーブ部分で詰まってしまうことがあります。また、「流せる」と表示のあるお掃除シートやペットシートも、トイレットペーパーに比べて溶けにくいため、蓄積して詰まりの原因になりやすいです。

原因②：スマホ、オムツ、猫砂などの固形物の落下

これは非常に多いケースです。胸ポケットからスマートフォンを落としてしまったり、お子様が小さなおもちゃを流してしまったり。吸水パッドやオムツは、水分を吸って膨張するため、排水管内で完全に蓋をしてしまう、最も厄介な原因の一つです。

原因③：排水管の奥や排水マスの詰まり

便器の中ではなく、その先の床下の排水管や、屋外にある「排水マス」で詰まりが起きているケースです。長年の汚れの蓄積や、木の根が排水管に入り込んでいることなどが原因で、これは専門的な器具を持つプロでないと解決は困難です。

【プロに依頼】水道業者を呼ぶべき判断基準と選び方

「自分でやるのは限界かも…」と感じたら、無理せず専門家を頼るのが賢明です。
早めにプロに任せることで、結果的に時間も費用も抑えられることがよくあります。

プロに依頼すべき3つのケース

1. ラバーカップを試しても直らない
2. 固形物やオムツなどを流してしまった
3. 詰まりの原因が全くわからない

これらの場合は、家庭用の道具では解決できない可能性が非常に高いです。

悪徳業者を避ける！優良な水道業者の選び方4つのポイント

残念ながら、高額な請求をする悪徳業者も存在します。以下のポイントを参考に、信頼できる業者を選んでください。

見積もりを取る際に伝えるべきこと

業者に電話する際は、以下の情報を伝えると、状況が正確に伝わり、話がスムーズに進みます。

• いつから（例：今朝から）
• 何が、どうなっているか（例：トイレの水位が上がって、流れない）
• 何か試したか（例：ラバーカップを3回試したがダメだった）
• 原因に心当たりはあるか（例：子どもがおもちゃを落としたかもしれない）

トイレつまり修理の料金相場は？費用を抑えるコツ

プロに頼む上で、一番気になるのが費用ですよね。
ここでは、一般的な料金の相場感をお伝えします。

※上記はあくまで目安です。業者や状況によって変動しますので、必ず作業前に見積もりで総額を確認してください。

修理費用を少しでも安く抑えるには？

費用を抑える最大のコツは、「深夜・早朝の割増料金が発生する時間帯を避ける」ことです。もし緊急でなければ、日中に依頼するだけで数千円の差が出ることがあります。
また、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」も有効ですが、緊急時には難しいかもしれません。まずは信頼できる1社に相談するのが現実的でしょう。

トイレ水位のトラブルに関するFAQ

最後に、お客様からよくいただく質問にお答えします。

Q. 賃貸マンションなのですが、誰に連絡すればいいですか？費用負担は？

A. まずは大家さんか管理会社に連絡するのが鉄則です。ティッシュの流しすぎなど、ご自身の過失による詰まりは自己負担、建物の設備自体に問題がある場合は大家さん負担となるのが一般的です。自己判断で業者を呼んでしまうと、全額自己負担になる可能性があるので注意しましょう。

Q. トイレつまりにお湯や重曹は効果がありますか？

A. 効果は限定的で、推奨しません。特にお湯は、先述の通り便器を破損させるリスクがあります。重曹と酢も、油汚れが原因のキッチンの排水口とは違い、トイレットペーパーなどが原因のトイレの詰まりには、ほとんど効果が期待できません。

Q. 一度水位が元に戻ったのですが、放置しても大丈夫ですか？

A. 油断は禁物です。詰まりの原因が完全に解消されたわけではなく、一時的に水の通り道ができただけかもしれません。近いうちに再発する可能性が高いので、異物を流した心当たりがないか考えたり、一度に流す紙の量を減らしたりと、注意して使うようにしてください。

まとめ：トイレの水位が上がったら、慌てず・確実な対処を

この記事では、トイレの水位が上がってしまった時の緊急対処法から、原因、そしてプロの選び方までを解説してきました。

最後に、大切なポイントを3つだけ繰り返します。

1. まずは応急処置： 慌てて流さず、止水栓を閉めてください。
2. 自分で試す際は慎重に： ラバーカップは「引く」力が重要。NG行動は絶対に避けてください。
3. 無理は禁物： 少しでも「難しい」と感じたら、すぐにプロを頼るのが一番の近道です。

突然のトラブルで、本当に不安なことと思います。
私たち「たうん水道修理センター」は、そんなあなたの「困った！」に24時間365日寄り添います。この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、確実な問題解決の一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

いつでもお気軽にご相談ください。