給湯器が壊れたらどうする？専門家が教える安全確保と費用を抑える全手順

給湯器の突然の故障、本当に不安ですよね。まず結論からお伝えします。慌てて業者に連絡する前に、安全確保の手順と連絡先の正しい順番を知ることが、被害を防ぎ費用を抑える鍵です。この記事では、元住宅設備エンジニアが、緊急時の対処法から、悪質業者に騙されず、国の補助金で賢く交換する全知識を徹底解説します。

【最優先】命を守る初期対応！ガス漏れ・水漏れ時の緊急アクション

👉 このパートをまとめると！
ガス臭がしたら火気厳禁で換気とガス栓閉鎖。水漏れは電源を切り給水栓を閉める。安全確保が最優先です。

ご安心ください。この章を読めば、万が一の事態でも冷静に対処できます。何よりもまず、ご自身の安全を確保することが重要です。

警告：ガス臭がする場合の絶対手順

ガス特有の臭いがした場合は、火災や爆発の危険が伴う最も緊急性の高い状況です。以下の手順を厳守してください。

1. 🔥 火気厳禁
   コンロやタバコの火をすぐに消してください。換気扇や電灯のスイッチなど、火花が飛ぶ可能性のあるものは絶対に操作してはいけません。
2. 🪟 換気の実施
   窓やドアを大きく開けて、室内のガスを屋外へ逃がします。
3. 밸 ガス栓の閉鎖
   給湯器本体のガス栓と、玄関先などにあるガスメーターの元栓を閉めてください。
4. 📞 避難と連絡
   ガス臭のする場所から離れ、安全な場所からご契約のガス供給事業者に緊急連絡をしてください。

本体から水漏れしている場合の応急処置

給湯器本体から水が漏れている場合、感電や家財への水損被害を防ぐための応急処置が必要です。水回りのトラブルは適切な対処法を知っておくことが重要です。

1. 🔌 電源の遮断
   安全のため、給湯器の電源プラグを抜くか、対応するブレーカーを落とします。
2. 💧 給水の停止
   給湯器本体の下につながっている給水元栓（止水栓）を、時計回りに固く閉めてください。

慌てて業者を呼ぶ前に：自分でできる3つのチェックポイント

ガス漏れや水漏れ以外の「お湯が出ない」といった症状の場合、簡単な確認で復旧することがあります。不要な出張費を避けるため、以下の3点を確認してみましょう。

• ✅ 電源の確認: 給湯器の電源プラグは抜けていませんか？住宅のブレーカーは落ちていませんか？
• ✅ リモコンの確認: 浴室や台所のリモコンの電源は入っていますか？エラーコードが表示されていれば、番号をメモしておきましょう。
• ✅ 他の機器の確認: ガスコンロはつきますか？他の蛇口から水は出ますか？家全体のガスや水道の供給に問題がないか確認します。

この章のまとめ

• ガス臭がしたら、火気厳禁・換気・ガス栓閉鎖・避難連絡の4ステップを徹底する。
• 水漏れを発見したら、電源遮断と給水停止で二次被害を防ぐ。
• 業者を呼ぶ前に、電源・リモコン・他の機器を確認することで、問題が解決する場合がある。

【重要】どこに電話する？連絡先の正解フローチャート

👉 このパートをまとめると！
賃貸物件なら迷わず管理会社・大家へ。持ち家は保証期間や緊急性に応じて設置業者・ガス会社・専門業者から選択します。

「一体どこに電話すればいいの？」という疑問は、多くの方が抱く不安です。連絡先を間違えると、余計な費用がかかる場合もあるため、ご自身の状況に合わせた正しい連絡先を知っておきましょう。

【鉄則】賃貸物件にお住まいの方へ

アパートやマンションなどの賃貸物件にお住まいの場合、連絡先は「管理会社」または「大家さん」一択です。これが絶対的なルールです。

入居時から設置されている給湯器は、大家さんの所有物です。そのため、修理や交換の手配、そして費用負担は原則として大家さんが行います。もしご自身の判断で業者を手配してしまうと、費用が自己負担になるだけでなく、契約違反と見なされる可能性もあるため、必ず最初に管理会社へ連絡してください。

持ち家の方の連絡先とメリット・デメリット比較

持ち家にお住まいの場合、連絡先は状況に応じて選ぶことができます。それぞれの特徴を理解し、最適な選択をしましょう。

フローチャートで診断！あなたに最適な連絡先はここ

ご自身の状況を整理し、最適な連絡先を見つけましょう。

この章のまとめ

• 賃貸物件の給湯器故障は、必ず管理会社か大家さんに第一報を入れる。
• 持ち家の場合は、保証期間、緊急性、費用感を考慮して連絡先を選択する。
• フローチャートを使えば、ご自身の状況に最適な連絡先を迷わず判断できる。

修理か交換か？10年で決める後悔しない判断マトリクス

👉 このパートをまとめると！
使用10年未満は修理、10年以上は交換が基本。修理費が高額な場合や安全に関わる不具合は年数問わず交換を推奨します。

「まだ使えるなら修理したいけど、交換した方が得なのかな？」この悩みは、費用に直結するだけに非常に重要です。後悔しないための判断基準を解説します。

なぜ「10年」が重要なのか？部品供給と故障リスクの現実

家庭用ガス給湯器には、安全に使用できる標準的な期間として「設計上の標準使用期間」が定められており、その期間は10年です。^[1]

10年を超えると、経年劣化により様々な部品が寿命を迎え始めます。一つの部品を修理しても、すぐに別の部品が壊れるという「いたちごっこ」状態に陥りやすくなります。また、メーカーは製品の製造終了後、修理部品を一定期間しか保有しません。そのため、10年以上経過した機種では、部品がなく修理自体が不可能になるケースも少なくありません。

修理を選ぶべきケース vs 交換を選ぶべきケース

使用年数と故障の状況から、最適な選択肢を判断しましょう。

【専門家の視点】修理費用が「5万円」を超えたら交換を検討すべき理由

一つの目安として、修理費用が5万円を超えるようなら、たとえ使用年数が10年未満でも交換を検討することをおすすめします。

高額な修理費を払っても、他の部品がすぐに故障するリスクは残ります。それならば、最新の高効率な給湯器に交換した方が、長期的に見て経済的メリットが大きくなる可能性があります。この長期的な視点については、後の章で詳しく解説します。

この章のまとめ

• 給湯器の交換時期は「10年」が重要な目安となる。
• 10年を超えた給湯器は、連鎖的な故障リスクや部品供給の問題から交換が賢明。
• 修理費用が高額になる場合は、使用年数に関わらず交換を視野に入れるのが合理的。

【UVP】悪質業者から身を守る戦略的防衛術

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「無料点検」をうたう突然の訪問は詐欺の可能性大。その場で契約せず、必ず相見積もりを取り、怪しければ188へ相談を。

給湯器の故障という、消費者の不安な心理につけ込む悪質な「点検商法」の被害が急増しています。ご自身の財産を守るため、その手口と対策を必ず知っておいてください。

なぜ今、給湯器の詐欺被害が急増しているのか？

国民生活センターの調査によれば、給湯器の点検商法に関する相談件数は2023年度に過去最多となり、前年度の約2倍に急増しました。特に、被害契約者の7割以上が70歳以上の高齢者であり、社会問題化しています。^[2] これは決して他人事ではありません。もしご実家に高齢の親御さんがいらっしゃるなら、ぜひこの手口について話してあげてください。一本の電話が、大切なご家族を数十万円の被害から守るかもしれません。

これが手口だ！典型的な「点検商法」3つのパターン

悪質業者は、巧妙な手口で契約を迫ってきます。

1. 身分詐称：「ガス会社の者です」
   公的機関や大手メーカーの関連会社であるかのように装い、信用させて家に入り込もうとします。
2. 不安煽り：「このままでは爆発します」
   「無料で点検します」と親切を装い、実際には問題ない箇所を指して「ガス漏れしている」「すぐに交換しないと危険だ」などと嘘の報告で恐怖心を煽ります。
3. 即決強要：「今日だけ半額です」
   「キャンペーンは本日まで」「今契約すれば特別に割引する」などと、家族に相談したり、他の業者と比較したりする時間を与えず、その場での契約を強引に迫ります。

自己防衛チェックリスト：騙されないための5つの鉄則

悪質な業者から身を守るために、以下の5つの鉄則を心に留めてください。

1. ✅ その場で契約しない
   どんなに魅力的な条件を提示されても、絶対にその場で契約書にサインしてはいけません。
2. ✅ 身分証を確認する
   必ず身分証明書の提示を求め、記載されている会社に電話して、本当に訪問の事実があるか確認しましょう。
3. ✅ 複数の見積もりを取る
   「家族と相談して決めます」と伝え、必ず複数の正規業者から見積もりを取り、価格や内容を比較します。
4. ✅ 家族に相談する
   一人で判断せず、必ず家族や信頼できる人に相談し、客観的な意見を聞きましょう。
5. ✅ 怪しいと思ったら「消費者ホットライン188」に電話する
   少しでも「おかしいな」と感じたら、ためらわずに公的な相談窓口である消費者ホットライン「188（いやや）」に電話してください。

もし契約してしまったら？8日以内なら「クーリング・オフ」が可能です

万が一、訪問販売で契約してしまった場合でも、契約書面を受け取った日から8日以内であれば、無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ制度」を利用できます。

この章のまとめ

• 「無料点検」をうたう突然の訪問業者は、まず悪質商法を疑う。
• 「不安を煽る」「即決を迫る」は典型的な手口であり、その場で絶対に契約しない。
• 困ったときは一人で悩まず、消費者ホットライン「188」に相談する。

【UVP】補助金を最大化する戦略的投資ガイド

👉 このパートをまとめると！
2025年は国の補助金で最大21万円以上お得に。高性能な機種ほど補助額が増えるため、長期的な視点での選択が賢明です。

給湯器の交換は大きな出費ですが、国の制度を賢く利用すれば、負担を大幅に軽減できます。これは単なる値引きではなく、未来への賢い「投資」です。

一言でいうと「給湯省エネ2025事業」とは？

これは、国が省エネ性能の高い給湯器の普及を後押しするために実施している補助金制度です。イメージとしては、燃費の良いハイブリッドカーを買うと補助金が出るのと同じで、環境に優しく、光熱費の節約にもつながる高性能な給湯器を選ぶことで、国から支援が受けられる仕組みです。公的機関への相談窓口でも制度について詳しく確認できます。^[3]

あなたはいくら貰える？補助金額の早見表

補助金額は、設置する給湯器の種類や性能によって変わります。高性能な機種ほど、より多くの補助金が受け取れるのが特徴です。

（注）補助金最大合計額には、特定の既存機器の撤去加算が含まれます。

注意！補助金は「登録事業者」経由でないと申請できません

この補助金制度の重要なポイントは、個人で直接申請することはできないという点です。

補助金の申請手続きは、国に登録された「住宅省エネ支援事業者」である設置工事業者が、あなたに代わって行います。したがって、補助金の活用を考えている場合は、業者を選ぶ際に「住宅省エネ支援事業者」に登録されているかどうかを必ず確認する必要があります。

長期的な視点で考える「総所有コスト（TCO）」という賢い選択

給湯器選びで失敗しないためには、初期費用だけで判断してはいけません。本当に重要なのは、機器代金と工事費に、この先10年間の光熱費まで含めた「総所有コスト（Total Cost of Ownership）」です。

例えば、高効率ガス給湯器「エコジョーズ」は、従来型の給湯器より本体価格が数万円高いですが、ガス消費量を約15%削減できます。これは一般的な家庭で年間約15,000円のガス代節約に繋がり、10年間で15万円もの差になります。^[4] この節約分を考えれば、初期費用の価格差は数年で回収でき、トータルではるかにお得になるのです。

この章のまとめ

• 「給湯省エネ2025事業」を活用すれば、高性能な給湯器への交換費用を大幅に削減できる。
• 補助金申請は「住宅省エネ支援事業者」として登録された業者に依頼する必要がある。
• 初期費用だけでなく、10年間の光熱費を含めた「総所有コスト」で判断することが最も賢い選択。

よくある質問

👉 このパートをまとめると！
給湯器の寿命は一般的に10年です。交換までの間は銭湯やコインランドリーの活用を。費用は機種によりますが15万円前後が目安です。

最後に、多くの方が疑問に思う点について、簡潔にお答えします。

Q. 給湯器の寿命って、結局何年くらいですか？

A. メーカーが定める設計上の標準使用期間は10年です。使用状況によりますが、10年を超えると故障のリスクが急激に高まるため、交換の目安と考えるのが一般的です。

Q. 交換が終わるまで、お風呂はどうすればいいですか？

A. 業者によっては即日交換が可能な場合もありますが、数日かかることもあります。その間は、近所の銭湯やスーパー銭湯、スポーツジムのシャワーなどを利用するのが現実的です。コインランドリーの利用も合わせて検討すると良いでしょう。

Q. 給湯器の交換費用は、総額でいくらくらいかかりますか？

A. 最も一般的な追いだき機能付きの機種で、機器本体と標準的な工事費を合わせて総額15万円から25万円程度が中心価格帯です。この価格差は主に、①省エネ性能（エコジョーズなど）による本体価格の違いと、②設置場所に応じた追加工事（排気管の延長など）の有無によって生じます。正確な金額は必ず見積もりで確認しましょう。

Q. マンションのPS設置タイプでもエコジョーズに交換できますか？

A. はい、交換可能です。マンションのパイプスペース（PS）設置用に設計された、スリムタイプのエコジョーズ給湯器が各メーカーから販売されています。ただし、管理規約で制限がある場合もあるため、事前に管理組合への確認が必要です。

まとめ：給湯器故障の鉄則は「まず安全、次に連絡、そして比較」

👉 このパートをまとめると！
故障時は安全確保を最優先し、正しい連絡先へ。10年超えは交換を軸に、悪質業者を避け、補助金とTCOで賢く選択を。

この記事では、給湯器の突然の故障という危機を乗り越え、後悔のない選択をするための知識を解説してきました。最後に、最も重要なポイントを振り返ります。

• ① 安全確保を最優先に: ガス漏れや水漏れの際は、この記事で紹介した手順に従い、まずご自身の安全を確保してください。
• ② 正しい連絡先へ: 賃貸なら管理会社、持ち家なら状況に応じて最適な連絡先を選びましょう。
• ③ 冷静な判断を: 「10年ルール」と判断マトリクスを参考に、修理か交換かを冷静に判断します。
• ④ 賢い投資を: 悪質業者から身を守り、国の補助金と「総所有コスト」の視点で、この先10年間の安心と快適を手に入れましょう。

給湯器の故障は、家庭のエネルギーインフラを見直す絶好の機会でもあります。この記事が、あなたの不安を解消し、最善の判断を下すための一助となれば幸いです。

参考文献

1. 東京ガス. ガスコンロ・ガス給湯器の寿命・交換推奨時期・耐用年数. (2025年10月23日 閲覧)
2. 国民生活センター. (2024年2月21日). 給湯器の点検にご注意ください－70歳以上の高齢者を中心にトラブル急増！－. (2025年10月23日 閲覧)
3. 経済産業省 資源エネルギー庁. 給湯省エネ2025事業【公式】. (2025年10月23日 閲覧)
4. リンナイ株式会社. 光熱費と環境負荷を抑える － リンナイのエコジョーズが選ばれる理由. (2025年10月23日 閲覧)